まことに僭越ですが、私は歯科技工士と言う立場で学会発表、新しい装置
の開発、新しい材料の開発等、37年間歯科技工一筋に取り組んで参りまし
たが、残念なことに日本の若い歯科技工士の離職率は、70%以上です。
原因は、労働がキツイ、賃金が安い、中国への技工依頼など様々ですが、大
きな原因の一つが将来に夢が持てないことにあると思います。
この「夢が持てない」は今、日本の職人と言われる人達に共通していると 思います。どうしても、職人は自分の世界から世間を見ようとしますので 自分たちのすぐれた技術や、機材はもしかしたら全く違う職種の人たちと 共有できるかもしれないと考えにくいのです。
私は、歯科技工士ではなく自分を職人と考えることで、色んな職種の職人 さんと技術の共有が出来ることを感じました。そして思うことは、どの職人 さんも技術を語りだすととても熱いハートがあるということです。中には、 目に一杯の涙をためてご自分の技術、日本の和の良さを語る方もお見えにな りました。
技術を持った職人の方は、みなさんとても熱いんです。
しかし残念なことに、生活の話になると食べていけない、生活に余裕がな い、政治が悪いとなります。
私は、こう思うのです。
もちろん我々は職人ですので、今自分のいる立場がどの様な状態でも技術
の研鑽、精進はあたりまえです。しかし今までのメイドインジャパンの考え
では、材料、機械の進歩により、労働賃金の安い国にすべてとは言いません
が、仕事が流れていくことを止めることは難しいのではないでしょうか?
幸い日本の職人は、それぞれが小さな団体であることが多く、合併、吸収と
言うよりは、共有、共同 合同、が出来そして何よりも、義理、人情、絆が
あります。
この共有、共同、合同、義理、人情、絆をベースにまとまれば
「異業種+異業種=新しいメイドインジャパン」が出来ます。足し算ではな
く確かな技術を持った日本の職人なら掛け算にすることも可能です。
また今回カジュエーゼを立ち上げるとき、私は、漆職人さんに知り合いな
ど全くなく、漆なら輪島と思い輪島の協会に直接電話させて頂きました。
最初は歯科技工士さんが何の用ですか?と言われましたが事情を話したとこ
ろ、快諾して頂き今では、伝統工芸士さんが輪島から岐阜まで来てくれます。
七宝焼きの職人さんもとっても熱い人で快諾してくれました。うれしいこと
に輪島の伝統工芸士さんが、七宝焼きを見て素晴らしいと言い、同じことを
七宝職人が蒔絵、螺鈿をみて素晴らしいと言いました。(お互いあまり他の
職人の作品を見ることがないそうです)
今、それぞれの職人が同じベースの上で一つのモノを作ろうとしています。
おそらく我々の想像をはるかに超えたものが出来ると思います。
また、その他、弟、妹、末っ子シリーズは、型を取る必要が無く、カジュ エーゼよりお求めやすい値段設定にして今までにない指先のお洒落を日本か ら多くの世界の人に発信しようと考えています。
私達は、たくさんの宣伝広告費があるわけではありませんが、超一流の技 術があります。
私達は、日本国が大好きです。日本人に生まれたことを誇りに思います。
だからこそ新しいメイドインジャパンを考えたいのです。皆々様この思いを
理解して頂き皆様に出来ることをご協力ください。
最後になりますが、漆塗のカジュエーゼは国際漆展 石川2012で入選致
しました。
カジュエーゼ 代表 堀 泰彰
国際漆展・石川2012入選作品 「雅 (MIYABI)」